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「週刊正論」

G20は豊臣秀吉ゆかりの甲冑でおもてなしを

日本が初の議長国を務める20カ国・地域(G20)首脳会議が6月28、29日に迫ってきました。安倍晋三首相は連日、外務省幹部らと対応を協議しています。中東情勢、北東アジア情勢、世界経済など各国の利害が対立する懸案をどのように裁くか議長としての首相の腕の見せ所ですが、各国首脳をいかにおもてなしするかも大事です。

舞台の一つとなるのが大阪迎賓館(大阪市中央区)です。安倍首相は4月20日に大阪迎賓館を視察しました。この迎賓館は平成7年に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の舞台として造られました。京都・二条城の二の丸御殿白書院をモデルをモデルにした純和風建築で、天井が格子状になった格式の高い様式「折上格(おりあげごう)天井」や、生漆(きうるし)の古色塗による木材の加工技術などがみどころです。

◇武将甲冑婚

この大阪迎賓館のホームページをみていたら、興味深い迎賓館での挙式スタイルがありました。「オリジナル武将甲冑婚~出陣~」です。

案内によると、「戦国時代、出陣の際には、勝利を願って縁起を担ぐ儀礼を行っていました。400年の時を経た現代、何か事を始めるにあたって、成功・勝利を祈念して行う儀式全般を、広く『出陣』と呼びます。豊臣秀吉モデルの甲冑を身につけた新郎と、麗しい和装を身につけた新婦。ふたりの新たなる人生に『出陣』を」とPRしています。

各国首脳には大阪城天守閣を背後に記念写真を撮っていただいた後、甲冑をつけるのは難しいでしょうから、甲冑を背後に安倍晋三首相とのツーショット写真を撮ってほしいものです。

◇甲冑に反応する首脳とは

欧州では日本の甲冑に人気があるようです。2013年にパリで開かれた「ジャパン・エキスポ」には、滋賀県彦根市の人気キャラ「ひこにゃん」が、国宝彦根城をPRする「甲冑隊」とともに登場し、新旧の「クールジャパン」としてパリッ子の心を射止めたと当時の報道にありました。

甲冑に必ず反応するとみられる首脳がいます。トランプ米大統領です。トランプ氏は安倍首相との会談で、日本のことをしばしば“a warrior nation”(戦士の国あるいは武士の国)と言います。トランプ大統領は2017年8月から9月にかけて、北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を通過したとき、日本政府が破壊措置をとらなかったことに不満の意を示した際、「武士の国なのに理解できない」と発言したとされます。武士の象徴である甲冑をみれば、トランプ氏が喜ぶのは間違いないでしょう。

ロシアのプーチン大統領も興味津々かもしれません。2017年9月に安倍首相と会談したプーチン氏は首相に室町時代後期の希少な日本刀「村正」をプレゼントしています。徳川家康の祖父・清康が殺されたのも、家康自身がけがをしたのも、家康の嫡男・信康が自刃したとき介錯に使われたのも「村正」だったと伝わるなど、妖刀とも言われています。どうしてプーチン氏の手に「村正」が渡ったかは不明ですが、甲冑をみせたらプーチン氏との話も弾むでしょう。

各国首脳に日本人の勇猛さを印象付けるのに甲冑ほどふさわしいのはありません。甲冑という本物の文化財を実際に間近でみて、その魅力をわかってもらいたいものです。

◇拒否反応を示す国は

ただ一国、条件反射的に豊臣秀吉ゆかりの甲冑に拒否反応を示す首脳がいるだろうですって。そんなことはないでしょう。かの国がG20の議長国となったときも国立中央博物館で歓迎レセプションを開きました。日本もこれに習い、伝統ある大阪城公園の中で、伝統の甲冑をみせ、歴史に触れてもらうべきでしょう。

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著者略歴

  1. 有元隆志

    ありもと・たかし 産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人。1989年産経新聞社入社。政治部で首相官邸、自民党、外務省などを担当。2005年7月からワシントン特派員。13年10月政治部長、16年10月編集局総務、18年7月から現職

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