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「週刊正論」

G20での日韓首脳会談なしは「不自然」でなく「自然」

超党派の日韓議員連盟で幹事長を務める自民党の河村建夫元官房長官(76)=山口3区=は、今月28、29両日に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の際の日韓首脳会談の開催に期待感を示しました。安倍晋三首相はG20出席のために来日する各国首脳とできる限り個別に会談する予定ですが、首相周辺は「韓国の文在寅大統領と会談することは考えていない」と言います。時事通信によると、河村氏は今月12日、衆院議員会館で記者団に「日韓だけが行われないのは不自然ではないか」と発言しました。目下の日韓関係を考えると「不自然」ではなく、会談しないほうが「自然」というべきでしょう。

◇大阪城背景の記念撮影

河村氏は「日本ハワイ友好」、「時間市場創出推進(ナイトタイムエコノミー)」、「文化芸術振興」など372(オフィシャルサイトより)の議員連盟に属し、温厚な人柄と、官房長官まで務めたことから会長も多く務めています。もちろん、他国との友好親善に努め、議員同士のパイプを持つことは大切です。だからといって相手の言うことに従順である必要はありません。あくまで日本の国会議員なのですから。

自称「徴用工」訴訟をめぐる韓国最高裁判決や、慰安婦問題をめぐる日韓合意の中核である「和解・癒やし財団」の解散方針の発表などは、すべて韓国側による反日的な言動です。日韓関係を「非常に厳しい状況」(外交青書)に追い込んでいるのは文在寅政権であり、何ら進展も見込めないなかで、会談する意味があるのでしょうか。むしろ、日本側が「本気」であることを相手に明確に伝えるためにも会談しないことに意味があります。

G20では各国首脳が一堂に並んだ記念撮影が行われます。今回、日本政府は大阪のシンボルとも言うべき大阪城を背景に撮影を行う予定ですが、それに「イチャモン」をつけたのが韓国マスコミではなく朝日新聞でした。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は外信コラム「ソウルからヨボセヨ」で朝日の記事を紹介しました。大阪城は朝鮮半島に出兵した豊臣秀吉の居城であるため、「韓国の反発が予想される」との記事です。さっそく韓国マスコミが飛びつきました。

「日本の足を引っ張ることを“愛国”と考え、そんな報道が日常茶飯事の韓国マスコミでは昔からよくある風景だが、日本の朝日新聞がそういって韓国世論にアピール(?)している形だ」と記した黒田氏は、「朝日新聞のこうした“反日・親韓告げ口”報道はいささか古過ぎやしないか?」と批判しました。

◇堪忍袋の緒が切れた

河村氏は記者団に「両方の思いが関係改善という一つの方向に向かなければいけない。われわれも水面下で情報交換している」と語りました。では、日韓議連は朝日新聞ではない日本側の空気を率直に韓国政府・議会に伝えているのでしょうか。

そうとは思えない証言があります。月刊「正論」平成31年3月号の城内実衆院議員(54)=静岡7区=の寄稿、「私が日韓議連を辞めた理由」をぜひお読みください。

「韓国軍による自衛艦旗『旭日旗』の掲揚自粛要請、韓国国会議員団の竹島(島根県隠岐の島町)上陸、韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟…。日本を標的にした韓国側の相次ぐ挑発に対し、とうとう堪忍袋の緒が切れました」

城内氏は昨年11月、日韓議連を退会しました。さらに、最高裁判決が出た直後の昨年12月の日韓議連の訪韓のタイミングは「明らかにおかしかった」と批判しました。議連にとっては間が悪いことに、訪問時、韓国軍は竹島の近海で「防衛訓練」を実施しました。

「韓国側の態度は挑発以外のなにものでもありません。端的に言えば、日本の国会議員団はコケにされたのです。日韓議連の方々が現地で韓国側に猛烈な抗議をしたとは聞いていません。真の友情を育むためには、言うべきことは言わなければなりません

城内氏の指摘通りでしょう。

◇断固突っぱねよ

日韓議連は9月18日に東京で合同総会を開催するといいます。河村氏は「このままの状況が続くことが好ましいと思っている人はいない」と述べました。そうであるならば、原因は韓国側にあるのだということをはっきりと伝えるべきです。

最後に城内氏の提言を紹介します。

「日韓が真の友情を育むためには、なによりも韓国側が日本に対する甘えを捨てる必要があります。そして日本側も、誤ったメッセージを送らぬよう、これまでのように韓国の主張に安易に妥協したり、あるいは沈黙したり、または反論を先送りするようなことは避けるべきです。『日韓双方がお互いに知恵を出し合って問題を解決しましょう』という常套句を韓国側は良く使いますが、今回のようなケースでは、だめなものはだめと断固として突っぱねることが大切です」

改めて言います。安倍首相がG20で文在寅大統領と会談しないのは「自然」であって、決して「不自然」ではないのです。

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著者略歴

  1. 有元隆志

    ありもと・たかし 産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人。1989年産経新聞社入社。政治部で首相官邸、自民党、外務省などを担当。2005年7月からワシントン特派員。13年10月政治部長、16年10月編集局総務、18年7月から現職

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