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阿蒙列車

どちらが偉い

愛媛県 松山市 伊予鉄道

 伊予鉄道のターミナルから郊外電車に乗
ると、お城の近くで大通りの踏切を通る。遮
断機が下りた道路には、切り出した豆腐のよ
うな路面電車が車と一緒に待っている。
「路面電車よりも電車は偉いんですね」。街を
案内してくれた後輩のアルプス山系君がい
う。電車とチンチン電車が踏切で交差する場
合は、電車優先なのである。 
 松山の街は明治二十一年に開通した伊予
鉄とともに発展したが、随所に線路を巡らせ
てしまったので線路と線路がぶつかり、電車
が電車の踏み切り待ちをする羽目になった。
 線路の交差部分にはそれぞれ切れ目が
入っていてガタンと揺れる。アルプス君が「路
面電車の複線をまたぐからガタタタン、ゴト
トトンと二回、やかましい音が鳴るんです」
と得意げで、電車よりよほどやかましい。当
世の電車は線路の継ぎ目を溶接しているた
め滑るように走るが、小生にはこういう音が
嬉しい。いい歳をして鉄道好きを卒業できぬ
呉下の阿蒙なのだが、編集部の許しを得て、
この連載で内田百閒先生を猿真似した駄文
を弄したく思う。

[文・写真] 大竹 直樹

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