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艦橋から

江田島経由で甲子園へ

 元開星高校野球部監督の野々村直通氏といえば負けても甲子園の土は持ち帰らせない、組み合わせ抽選会での羽織袴姿、「末代までの恥」「切腹したい」発言など、数々のエピソードで知られている。その中でも印象深いのは『正論』9月号にも書かれているが、野球部員を江田島経由で甲子園に導いていたことだ。
 春休みの遠征で、広島・江田島の海上自衛隊施設内にある「教育参考館」を見学させる。そこでは先の大戦で、若くして散った特攻隊員たちの遺書などを見学できる。それに触れた野球部員はまさに生まれ変わり、日々の生活の中でも甘さが消え、何事にも命懸けで取り組むようになる。かくして開星高校は10年間で春・夏あわせて9回の甲子園出場を果たしたというのである。
 もう6年前のことになるが、その野々村氏の島根県の自宅へ取材に行く機会があった。中途半端な気持ちで行くわけにはいかない。そこで思い立って、江田島経由で島根に行くことにした。
 イギリスから運ばれたレンガで造られたという旧海軍兵学校生徒館(現在は海自幹部候補生学校の校舎)、花崗岩の白さがまぶしい大講堂には歴史の重みが感じられる。戦艦大和の主砲砲弾や、真珠湾攻撃に出撃した特殊潜航艇も展示されている。教育参考館の資料には涙なくして見られないものも多い。
 気を引き締めて、いざ島根へ。JR木次線の駅まで、野々村氏が愛車で迎えに来てくれた。光岡自動車製の古風な車で、ナンバーは5589(高校野球)。どこまでも熱い人だった。「敗戦の日」に、そんなことを思い出す。(編集者M)

赤レンガが美しい江田島の海自幹部候補生学校校舎

敷地内に展示されている戦艦大和の主砲砲弾と特殊潜航艇

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