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阿蒙列車

どうしてこんなに長いのか

滋賀県大津市 京阪京津線

 京都と大津を結ぶ京阪京津線はチンチン
電車のくせに四両編成という長い列車で、大
蛇のようである。道の真ん中にこんな大蛇が
現れたのだから、脇を走る自動車はさぞ落
ち着かないだろうと思って車窓から見ている
と、案外、車の方も勝手知ったるものである。
大蛇がレールから一歩も外れられないことを
いいことに、脇をすいすい通り抜けていく。
 そもそも私は路面電車に乗ったつもりは
なかった。京都市街で車両に乗り込んだ時は
市営地下鉄だったのである。それが滋賀県に
近づいたところでお天道様の下に出てきて、
急勾配を上って、逢坂山の隧道をくぐり、大
津に入ると、勝手に路面を走り始めた。
 古都では地下鉄、国境では登山電車、琵琶
湖畔ではチンチン電車。次々と用途が変わる
車輌は特別仕様で、一メートル当たりの製造
費は新幹線よりも高価だそうだ。
「電車の価値は見かけだけでは分からない。
人も同じですね」
 一緒に乗っていたアルプス山系君が、先輩
の私に人生訓をたれんとするので、聞こえな
いふりをした。 [文・写真] 大竹 直樹

 

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著者略歴

  1. 大竹直樹

    産経新聞社会部記者。本誌2019年6月号に「反天皇の裁判官、外圧でゴーン〝保釈〟…『法の番人』は本当に公正中立か」を掲載。

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