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「吉田調書」報道から5年 変わらぬ朝日報道 「堕ちたメディア」発売します

 「あれから5年か。結局、朝日は反省なんかしなかったな」-産経新聞の阿比留瑠比政治部編集委員兼論説委員が18日、フェイスブックでこうつぶやいています。5年前の平成26年8月18日付朝刊1面トップで、産経新聞は東京電力福島第1原発事故発生時の所長だった吉田昌郎氏の「聴取結果書」(吉田調書)を報じました。当時、政治部長としてこの報道の責任者だったので感慨深いです。

そもそもは朝日新聞が同年5月20日付朝刊1面トップで、「吉田調書」を入手したとして、それに基づき「所長命令に違反 原発撤退」「福島第1 所員の9割」と報じたのがきっかけでした。

そんなことはないだろうと思いつつも、肝心の「吉田調書」の現物をみていないのでわかりません。なんとか「吉田調書」を入手しようと八方手を尽くしました。3カ月の月日を要しました。ようやく入手し、急いで調書を読んだときのことをいまでも鮮明に覚えています。吉田氏の命令に背いて所員が撤退したなどという発言はどこにも出てきませんでした。

「なぜ、朝日の記者はここまで歪めて記事を書いたのだろうか。だれも入手できないだろうからと高をくくっていたのだろうか」
こんな疑問を持ちました。調書をよく読み込んで、出稿したのが18日付1面トップの原稿「『全面撤退』明確に否定 命令違反の撤退なし」でした。

通常、このような独自ネタを外部の人に見せることはしませんが、私たちはノンフィクション作家の門田隆将氏に検証してもらうことにしました。

門田氏は平成24年に『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』という本を出し、吉田氏に長時間インタビューしたほか、現場の所員らにも話を聞いていました。門田氏は朝日報道に対し、いちはやく自身のブログで「朝日の報道は誤報である」と批判し、週刊誌にも「朝日新聞『吉田調書』スクープは従軍慰安婦虚報と同じだ」との記事を書いていました。

そこで門田氏に実際の調書を読んでもらい、18日付3面に寄稿してもらいました。門田氏の寄稿の一部を抜粋します。

「朝日の言う〝命令に違反〟した部分など、まったく出てこない。だが、朝日の報道によって、世界中のメディアが『日本人も現場から逃げていた』『第二のセウォル号事件』と報じたのは事実だ。最後まで1Fに残った人を『フクシマ・フィフティーズ』と称して評価していた外国メディアも、今では、所長命令に違反して所員が逃げてしまった結果にすぎない、という評価に変わってしまった」
「事実と異なる報道によって日本人をおとしめるという点において、先に撤回された慰安婦報道と図式がまったく同じではないか、と思う。なぜ朝日新聞は事実を曲げてまで、日本人をおとしめたいのか、私には理解できない」

朝日新聞はどういう反応を示したかというと、産経新聞東京本社編集局長と門田氏あてに、名誉と信用を傷つけられたと抗議書を送ってきたのでした。
朝日新聞はこの抗議書で「確かな取材に基づくものであり、『事実を曲げて』といった記述は誤り」と主張しました。

どちらの報道が正しいか、「吉田調書」を国民に示して判断してもらったらどうかという声が高まり、政府も公開に踏み切りました。公開した9月11日、朝日新聞の当時の木村伊量社長が記者会見し、記事の撤回と謝罪をし、社長辞任の意向を示しました。

「抗議は前提となる事実を欠くものであり、抗議したこと自体が誤っておりました」
朝日は9月13日には本紙や門田氏にこう謝り、抗議書を取り消したのです。

あれから5年。阿比留氏もつぶやいたように、朝日新聞の報道は変わるどころか、ますます先鋭化しているような印象を受けます。

月刊「正論」では9月17日発売で別冊正論「堕ちたメディア」を発売することにしました。同じ新聞業界にいる者として残念ですが、なぜここまでメディアは堕ちたのか。月刊「正論」がこれまで取り上げてきた「メディア問題」などを通じて、その病巣をあぶりだします。ご期待ください。
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著者略歴

  1. 有元隆志

    ありもと・たかし 産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人。1989年産経新聞社入社。政治部で首相官邸、自民党、外務省などを担当。2005年7月からワシントン特派員。13年10月政治部長、16年10月編集局総務、18年7月から現職

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