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大声でヤジを飛ばす人たち

埼玉県知事選(8月25日投開票)の選挙戦最終日、与党系候補の応援演説をしていた柴山昌彦文部科学相に対して「柴山辞めろ!」などと大声でヤジを飛ばした大学生が、埼玉県警に排除されるという一幕がありました。柴山氏はこのことについて記者会見で「表現の自由は最大限保障されなければならない」と述べつつも、演説を聴きたい人たちの権利にも触れ「大声を出すことは権利として保障されているとは言えないのではないか」との見解を示しました。

 

この発言にさっそくかみついたのが朝日新聞です。8月29日付社説で「ヤジを飛ばした市民の排除を是認するかのような閣僚の発言は、警察の行き過ぎた実力行使を助長しかねない。到底見過ごすわけにはいかない」などと柴山氏を批判しました。

 

この朝日社説は「ヤジも意思表示のひとつの方法であり、これが力ずくで排除されるようになれば、市民は街頭で自由に声を上げることができなくなる。その危うさに、柴山氏は思いが至らないのだろうか」と書きましたが、ヤジを飛ばしている人たちとは実際、どんな人たちなのか。彼らが集う定番スポットである選挙戦(参院選)最終日7月20日の秋葉原に行ってきたときのエピソードを報告します。

 

日が暮れてきたJR秋葉原駅前。お立ち台(街宣車)からみて左側の彼方、50メートルは離れた辺りに、大和大学専任講師の岩田温氏のフェイスブックでの表現を借りるなら「すごい負のオーラを漂わせている」100人ほどの一団がいました。その中に潜り込みました。

 

自民党東京選挙区の候補らによる演説中は大人しくしていた彼らは、麻生太郎副総理兼財務相の演説が始まると、手に手にプラカードを掲げて「麻生は辞めろ!」と連呼を始めました。やがて、連呼が「安倍辞めろ!」に変わりました。どうやら安倍首相が登壇したようです(彼らの集団の中にいると、演説は全く聞こえないのです)。

 

連呼している一団は比較的、若い男性が多かったです。プラカードには「嘘つき辞めろ」「アンチ・ファシズム」「消費増税中止」などと書かれていました。

 

「安倍辞めろ!」の連呼の合間にヤジが飛びます。聞くと「売国奴!」「トランプのポチ!」「国を売るな!」などと叫び、なかには「消費税を上げていただき、ありがとうございます!」との声も。消費税率10%へのアップは民主党・野田佳彦政権のときの三党合意で決まったんですけど…。

 

彼らは、安倍首相の退陣を求めて、代わりに誰を据えようというのか。一団の中には「れいわ新選組」の政策プラカードを掲げている人もおり、「山本太郎に代わってもらえ!」とのヤジも飛んでいました。結局、彼らは約40分にわたって「負のエネルギー」全開で「麻生は辞めろ」「安倍辞めろ」「恥を知れ」の連呼を続けたのでした。

 

とはいえこの日、秋葉原には1万人超ともいわれる自民党支持者が集結しており、安倍首相がかつて言った「こんな人たち」も多勢に無勢。かえって自民党の引き立て役になっていた感も否めません。

 

一団の中に、12年前に第1次安倍政権が退陣した際の朝日新聞記事をプラカードに仕立てて掲げていた男性がいたので「安倍さんの代わりは誰がいいと思いますか」と聞いてみました。33歳の彼は「政権交代を実現してほしいけれど、無理ならばせめて(自民党元幹事長の)石破茂さんになってほしい。野党では山本太郎さんですかね」と言葉を選びました。

 

隣にいた25歳の男性は「(共産党の)志位和夫さんにお願いしたい」と明言。聞けば、党員ではないけれども普段から共産党を支持しているとのこと。もう一人、初老の男性に聞いてみると「うーん、安倍さんのような嘘をつく人以外なら誰でもいいと思います。まあ、スガさん(菅義偉官房長官)は嫌ですけれど」との答え。

 

誰か一人くらい野党第1党である「(立憲民主党の)枝野幸男氏に期待する」と言ってほしかったが、「こんな人たち」も旧民主党には愛想を尽かしているようでした。どうやら突き抜けた野党が求められている模様。「れいわ新選組」や「NHKから国民を守る党」が躍進するわけです。両党の今後については、本日発売の月刊「正論」10月号で考察しています。

 

最後に本誌「阿蒙列車」でおなじみの大竹直樹記者による参院選の記事を引用しておきたいと思います。

 

《供応や買収以外にも、有権者が気をつけなければいけないのが「選挙の自由妨害」だ。気に入らない候補者がいるからといって、そのポスターを破ったり、落書きしたりしてはいけない。候補者の演説を妨害する行為も違法だ。集団で演説が聞き取れないほどの妨害行為を行った場合は、公選法が適用される可能性もある。違反すれば4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が科される》良識ある大人は、決してマネをしてはいけません。(溝上健良)

 

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  1. 溝上健良

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