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島田洋一の「世界 high & low」

島田洋一  忍び寄るイラン発「油断」の危機

日本の政治家は、大半が目をふさぎ、あるいは意識すらできずにいるが、日本経済に破滅的打撃を与える戦争の火蓋を明日にも切りかねない国がある。イランである。

リベラル派には、戦争はアメリカが始めるものという固定観念がある。それゆえ、「強硬派」ボルトン大統領安保補佐官の排除で、アメリカがより自制的になり戦争の危機は遠のいたと胸をなで下ろす向きが多い。しかし事実はむしろ逆である。

現に、ボルトン解任直後の9月14日に、サウジアラビアの重要石油施設がドローンと巡航ミサイルによる攻撃を受けた。米政府は種々の証拠に鑑みイランの犯行と断定、欧州主要3カ国(英仏独)も「この攻撃の責任がイランにあるのは明らかだ。他に妥当な説明はできない」との共同声明を出している(9月23日)。イランは関与を否定するが、米英仏独の情報機関の一致した見解よりイランの「神権ファシズム政権」の主張を信用すべき理由はない。ボルトン解任による抑止力低下で、中東における大戦争勃発の可能性はむしろ高まったと見るべきだろう。

経済産業省資源エネルギー庁の「エネルギー白書2019」によれば、日本は石油のほぼ全量を輸入に頼っており、うち中東産が87%を占める。中でもサウジとアラブ首長国連邦(UAE)の比率が高い。現在、中東政治における最大の動因は、スンニ派の盟主サウジとシーア派の盟主イランの対立である。ペルシャ湾を挟む地域大国サウジとイランの間で本格戦争となれば、クウェート、UAEなどからのものも含め、ホルムズ海峡経由で日本に来る中東石油はすべて途絶することになろう。ちなみに日本の石油輸入における「ホルムズ依存度」は80%超である。

アメリカやサウジからあえて対イラン戦争を開始する動機はないが、イラン側にはないとは言えない。アメリカが主導する制裁の強化によって、イランは石油の輸出が益々難しくなりつつある。最大の得意先だった中国企業にもアメリカは第三者制裁に乗り出した。

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