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阿蒙列車

シェークスピアの問い

京都府宇治市 JR奈良線

 警報機もなく、「入らないで下さい」という
看板もあるから、本来は踏切ではないはずだ
が、レールの両脇には、渡りたくば渡ればい
いじゃないかというように小道ができあがっ
ている。この小道を行く者は、左右を見て電
車が来ないとなると、砂利の上のレールを跨
いで向こう側へと踏み切るのである。
 近くの寺の住職によれば、江戸時代は墓地
へ続く参道だったところに明治になって鉄道
が通ったため、土地の人は勝手に渡り続け、
いまも「勝手踏切」と呼ばれる通り道として
残っているのだそうだ。鉄道より小道の方が
先輩格という思いもあるのだろう。
 たいそう危険だから鉄道会社は早く廃止
したい。だが、そうすると地元の人は毎日、正
規の踏切まで遠回りを強いられる。向こう側
には「渡る前 よく確かめよう みぎ・ひだ
り」という土地の人が立てたと思しき看板も
あるのだ。「だけど、やはり踏切ではなく通行
禁止だから…」。京都の宇治まで勝手踏切を
一緒に見に来たアルプス山系君が首を捻って
いる。踏み切るべきか踏み切らざるべきか。
それが問題だ。 [文・写真] 大竹 直樹

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