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艦橋から

2番じゃ絶対にダメなんです

 先週紹介した草津温泉での一件があったので、ちょっと科学・技術の話を。小型・省電力の画期的なスーパーコンピューターを作っている人物に取材することになった。彼は、かつて世界一だった理化学研究所の「京」の百倍速のスパコンが実現されれば世の中が劇的に変わる、そのスパコンを仮に中国のような国が手にしたら大変なことになり、日本が先に開発せねばならず「2番では絶対にダメなんです」と熱く語ってくれた。
 スパコンはどう冷却するかが課題で、「京」のように体育館のような場所と相当な電力が当然、必要なのだと考えられてきた。ところがペジーコンピューティング社のスパコンは本体が液体の中に入っている。自動車のエンジンのような「液冷」ではなく、丸ごと液体の中に沈める「液浸冷却」方式で、冷却効率を劇的に上げられるため、狭い室内に設置できるまでにスパコンの小型化を実現していた。ちなみに液浸冷却用の電気を通さない特殊な液体も日本の企業が開発したという。
 本誌2017年2月号に掲載したその記事は、彼が逮捕されて俄然、注目されることになる。
 しかし話はこれで終わらない。彼が社長を退いた後もスパコン開発は進められ、世界のスパコンの省エネ度を競うランキング「グリーン500」で、ペジー社などが手掛けた理化学研究所のスパコン「菖蒲システムB」が今年春、秋とも堂々の世界一に輝いたのだ。
 いずれ同社が、会議室に収まるサイズの世界最速スパコンを実現する日が来るかも。草津温泉で出会った3人組に出し抜かれないよう、注目していきたい。(編集者M)

「液浸冷却」方式のスパコンについて熱く語るペジー社の齊藤元章・元社長=平成28年11月

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