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江崎道朗の「複眼思考」

ヨーロッパで進む近現代史の見直し~ベルリンの壁崩壊30年、第2次世界大戦勃発80年を迎えて~

■ソ連の犯罪が追及され始めた

いま、ヨーロッパ各国で第2次世界大戦とその後の現代史に関する歴史の見直しが急激に進んでいる。

第2次世界大戦は、「ナチス・ドイツを中心とした枢軸国」と、「イギリス、フランス、そしてソ連を中心とした連合国」との戦いであり、「正義」の側である連合国が勝利した、ということになっている。そして戦後は専ら、ホロコーストに代表されるユダヤ人虐殺など、深刻な人権侵害を行ったナチス・ドイツが悪者になってきた。近年の歴史見直しで、このナチス・ドイツ≒悪者説が見直されるようになったというわけではない。見直されているのは、ナチス・ドイツを打ち負かしたソ連は果たして「正義」だったのか、ということだ。

ナチス・ドイツを打ち負かすうえでスターリン率いる「共産主義国家」ソ連が大きな役割を果たしたことから、ソ連は「正義」の側に位置付けられてきた。だが、そうした第2次世界大戦史観は間違っているのではないのか。ソ連も、ナチス・ドイツと同じく深刻な人権侵害を行った「悪者」ではなかったのか、という議論が起こっている。

議論が本格化したきっかけは1989年11月、ドイツのベルリンの壁の崩壊だ。2年後の1991年のソ連邦の解体と旧東欧諸国の民主化、独立によって各国の人々が言論の自由を取り戻した。そのため第2次世界大戦と戦後、ソ連と各国共産党が各国でいかにひどい人権侵害を行い、国民を苦しめてきたのかといった知られざる実態が明るみに出るようになった。

・ソ連が戦時中、占領した地域において現地の人々を拘束し、シベリアに送って強制労働をさせていたこと。
・各国の共産党のもとに秘密警察をつくり、ソ連と共産党に歯向かう人々は片っ端から逮捕し、政治犯として処罰していたこと。
・占領地の食糧や財産を強奪し、各地に深刻な飢餓をもたらしたこと。
・占領地の文化を無視し、「ソ連化」という名目でロシア語の使用の義務化、共産主義イデオロギー教育の強制と現地の文化や慣習の放棄、キリスト教教会への弾圧などを推進したこと。
・密告を奨励し、住民相互の監視体制を構築して、自宅でソ連や共産主義の批判を口にした人物も逮捕するほどの徹底した監視社会を築いたこと。

こうしたソ連と共産党独裁政権のおぞましい実態が、ソ連邦の解体と各国の民主化によって明らかになってきた。

写真はチェコの首都プラハに建てられている「共産主義博物館」

 

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