THE 正論,  the seiron, THE SEIRON, THE正論

日本を正す!

MENU

社会観撮 Someday Somewhere

1億画素、高精細の無人カメラが捉えた「即位礼正殿の儀」

 即位礼正殿の儀が10月22日午後1時から皇居・宮殿「松の間」で行われ、国内外の代表ら1990人を招き、天皇陛下は上皇さまへの感謝の言葉とともに国内外に即位されたことを宣言された。
 月刊「正論」12月号の巻頭グラビアでは、この即位礼正殿の儀などの儀式を巻頭5ページにわたる写真グラフで掲載している。是非ご覧いただければと思います。

即位礼正殿の儀

「即位礼正殿の儀」で即位されたことを宣言される天皇陛下=10月22日、皇居・宮殿「松の間」(内務省提供/1億画素の高精細カメラで撮影された上の画像と、それをトリミングした画像が下。荒れもなく十分掲載に耐える画像となっているのが分かる)

即位礼正殿の儀

 

 即位礼の当日の模様は、NHKが高精細の8Kカメラ18台を使い儀式を中継し、新聞各紙は翌日付朝刊で、1面、社会面の他に見開きの写真グラフ面で式典の詳細を報じた。
 このような中、産経、読売、毎日の3紙が1面掲載した内閣府提供のお言葉を述べる天皇陛下の写真が、驚くことに無人カメラのリモート撮影によるもので、それも1億画素を超える高精細な画像を大きくトリミングしたものであったことだ。
 即位礼正殿の儀の撮影を担当したのは、内閣府、宮内庁、そして在京の新聞各社で構成される東京写真記者協会加盟各社の代表カメラマンだった。歴史の1コマとしても重要で、後世に残る取材ともなればNHKの8K映像のみならず、高品質の画像を撮影したいと各社の写真担当者は当然考える。
 儀式の舞台となった宮殿「松の間」におけるカメラマンの配置は、高御座と御帳台を中心に左右の報道室、中庭を挟んだ正面などに代表カメラマンが割り振られた。
 無人カメラは内閣府が設置、配信された画像から推測すると、高御座を見上げるような低いアングルから正面に松の間の向かってやや右手に設置したようだ。またこの画像の書誌情報から、使用カメラはFUJIFILM GFX100で、レンズはフジノンレンズ GF63mmF2.8 R WRを使ったことが分かった。
 この富士フィルムのミラーレス一眼デジタルカメラ「FUJIFILM GFX 100」は、6月に発売されたばかり。最大の特徴は、35mm判の約1.7倍の面積を持つ対角55mmのラージフォーマットイメージセンサーを搭載し、なんと有効画素数が1億2百万画素という高画素、高精細な画像が期待できることだ。

産経新聞1面

「即位礼正殿の儀」で即位されたことを宣言される天皇陛下。(内務省提供/高精細画像を大きくトリミングものであることを全く感じさせない。産経新聞が翌日の朝刊1面で掲載した)

 

 ここに挙げた高御座全体と左の安倍晋三首相が収まる画角で撮影された写真を見ていただきたい。即位を宣言される天皇陛下は小さく写り、陛下の表情まではわかりにくい。しかし1億画素を超えるセンサーで捉えた画像は、下の縦位置の写真のようにかなり無理なトリミングでも掲載に耐えるまで伸ばせることがわかった。以前ならここまでトリミングしてしまうと写真が荒れてしまって、使用に耐えるものではなかった。
 この事実を知った産経新聞の写真担当デスクは「こんな発想はなかった。もうカメラマンは不要になりますね」と自嘲気味に話すが、確かにフィルムを使っていた時代から考えても、驚くべき結果だ。広く撮って、トリミングすればいいとなれば多くのカメラマンはお払い箱だ。

 20世紀を代表する写真家、アンリ・カルティエ・ブレッソンは構図を大切にした写真家で、自分の写真をトリミングしないことで有名だった。彼が撮影した〝決定的瞬間〟は、伝えたい内容がフレームにきっちりと収められているからこそ見る側に訴える力がある。
 デジタルの画質はすでに銀塩(フィルム)を超え、読者、ユーザーに高品質の写真を届けられるようになったのは喜ぶべきだが、報道写真の現場では画質に頼るだけではいけない。

 

皇后陛下

「松の間」から退出される皇后陛下。(産経新聞・松本健吾撮影)

秋篠宮ご夫婦

「即位礼正殿の儀」に臨まれる秋篠宮ご夫妻と長女眞子さま、次女佳子さま。(産経新聞・松本健吾撮影)

各国来賓

「即位礼正殿の儀」に参列した、世界各国からの賓客=皇居・宮殿「春秋の間」(代表撮影)

 

バックナンバー

著者略歴

  1. 渡辺照明

閉じる