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【29日発売の月刊「正論」1月号は「習近平の『国賓』反対】

月刊「正論」は毎月1日発売ですが、今回は11月29日発売となります。メインタイトルは、「習近平の『国賓』反対」です。日本政府は令和2年春に中国の習近平国家主席を「国賓」として招待する計画を進めていますが、本誌はこれに反対します。

安倍晋三首相は10月4日の所信表明演説で、日中関係について「来年の桜の咲くころに、習近平国家主席を国賓としてお迎えし、日中関係を新たな段階に押し上げていく」と述べました。なぜ「国賓」として招くのに反対か、詳しくは「反共3人組」こと評論家の石平さん、静岡大学の楊海英教授、産経新聞外信部の矢板明夫次長の鼎談をお読みください。ここでは改めて、「国賓」とは何かをおさらいします。

海外の賓客を接遇する場合、主に国賓、公賓、公式実務訪問、実務訪問―がありますが、国賓は政府が外国賓客を日本に招待する最高ランクに位置し、元首と大統領のみが対象です。国賓に対しては、天皇、皇后両陛下が出席される「歓迎行事」や、両陛下が主催される「宮中晩餐会」などが行われます。滞在費は原則日本側が負担します。

天皇陛下による国賓のご接遇は、象徴としての地位に基づく「公的行為」に位置づけられ、内閣の助言と承認が必要な「国事行為」ではありません。ただ、憲法の趣旨に沿って内閣の責任のもとで執り行われるものとされ、国賓の接遇や招聘は閣議で決定します。

どの国の元首を国賓とするかは政府内で検討して決めるのが通例です。平成初の国賓は元年10月、ジンバブエのムガベ大統領(当時)でした。当時の政府関係者によると、「数年前から調整を進めていたため、昭和天皇の崩御は想定しておらず、たまたまジンバブエになった」といいます。

それに対し、令和最初の国賓は意図して決められました。同盟国である米国のトランプ大統領夫妻を5月に招きました。天皇陛下は宮中晩餐会で「私が皇位を継承してから最初の国賓として、今宵、大統領御夫妻を晩餐会の席にお迎えすることができ、嬉しく思います」と述べられました。

今の中国は共産党独裁政権が続き、香港、チベット、ウイグルなどで人権弾圧が続いています。このような中国の元首を民主主義国家の日本が「国賓」で招くことは、誤ったメッセージを世界に発することになります。同盟国である米国では中国批判が強まっており、「国賓」に対し米国からも厳しい意見が出るのは必至です。

習主席を国賓として招待すれば、答礼として天皇陛下の訪中ということになるでしょう。思い出されるのが、平成4(1992)年10月の天皇陛下(現、上皇陛下)の訪中です。このときも国内で賛否が二分されました。天安門事件のわずか3年後であり、中国は欧州各国から制裁を受けていた時期にあたったからです。国交正常化20周年にあたるこの年、中国からの再三の要請に対し、当時の宮沢喜一内閣では官邸に識者を招き、意見を聞きました。1月から検討を始めましたが、最終的に閣議決定したのは8月25日でした。加藤紘一官房長官は記者会見で「謝罪のための旅ではない」と強調しました。

陛下は10月23日から28日の日程で、北京、西安、上海を訪問されました。23日の楊尚昆・国家主席主催の晩餐会で、陛下は「我が国が中国国民に対し多大の苦難を与えた不幸な一時期がありました。これは私の深く悲しみとするところ」と述べられました。

中国側の受け止めはどうだったでしょうか。中国の銭其シン元副首相は、日本が西側の経済制裁を打破する際の「最もよい突破口」となったとし、「天皇がこの時期に訪中したことは、西側の対中制裁を打破するうえで、積極的な作用を発揮した」(『銭其シン回顧録』)と書いています。(シンは「深」のさんずいヘンを「王」ヘンに換える)

産経新聞の報道をみますと、当時の関係者の証言として、「陛下は数年後、私の中国訪問は良かったのだろうか、と話されていた」そうです。

天皇陛下の訪中につながるような習主席の国賓があっていいのでしょうか。

「反共3人組」の鼎談のほか、評論家江崎道朗氏の「日本は米国にとって『頼りになる同盟国』か」、産経新聞佐々木類論説副委員長の「日中関係象徴する北大教授拘束~試される安倍政権」、慶応大学渡辺靖教授の「ペンス演説を読み解く~対中で軟化の兆しなし」、株式会社カチタス平井宏治代表取締役社長の「日本政府・企業も無関係でない~必読『米国防権限法』」、本誌編集部「ペンス副大統領演説 中国批判再び」、漫画家清水ともみさんの「ウイグル問題をマンガで告発~人権弾圧を許すな」、作家・ジャーナリスト門田隆将さんの「正論シネマサロン講演録~日台の絆が世界を救う」、麗澤大学ジェイソン・モーガン准教授の「NBA騒動から見える~米国は中国に跪いた」など盛りだくさんです。

こうした世界情勢に国会は何をしているのでしょうか。「桜を見る会」問題がすべてでしょうか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が「日本の危機に鈍感な人々」とのタイトルで「政治の惨状」を厳しく批判するとともに、「憲法を改正し、独立国としての気概を示すことが欠かせない」と強調しています。

ぜひ月刊「正論」1月号をお読みください。

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著者略歴

  1. 有元隆志

    ありもと・たかし 産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人。1989年産経新聞社入社。政治部で首相官邸、自民党、外務省などを担当。2005年7月からワシントン特派員。13年10月政治部長、16年10月編集局総務、18年7月から現職

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