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阿蒙列車

見あげてごらん

大阪府大阪市 JR大阪駅

 色鉛筆のペンケースのように列車が並ぶ
いくつものホームを、大きな一つの屋根で覆っ
ている。JR大阪駅は欧州のターミナルを思
わせる風格であり、その風格が小生をして旅
情を催さしめる。いま旅するお金も暇もない
が、大阪の端の寓居から、ついついアルプス山
系君を伴って出てきてしまった。仕方がないか
ら近郊に行く新快速電車に乗ろうと思う。用
はないけれど、用がなくては列車に乗っては
いけないという理屈はないのである。
 六十メートルの高さから、なだらかな弧を
描いている鉄骨の屋根は、サッカー場が二面
収まる広さだそうだ。ガラス張り部分から冬
の日が射してきて、いい心持ちである。
 しかし、よく見ると、目の前のホームにも
屋根がある。「ホームの屋根は要るのかね」。
関西に長く住む山系が「あの大きな屋根をつ
くったとき撤去する予定だったのですが、風
が強い日に雨が横からホームに吹き込んで
くるもんだから、残したそうです」と解説す
る。どうも納得がいかないが、新快速が入っ
てきた。車内のシートに収まったら、どちら
でもよくなった。 [文・写真] 大竹 直樹

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著者略歴

  1. 大竹直樹

    産経新聞社会部記者。本誌2019年6月号に「反天皇の裁判官、外圧でゴーン〝保釈〟…『法の番人』は本当に公正中立か」を掲載。

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