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【花丸印つけるよりも立憲民主党の安住淳氏はまともな国会審議に傾注を】

 正論調査室長の有元隆志です。立憲民主党の安住淳国会対策委員長とは海部俊樹内閣の時、「総理番」で一緒でした。どこかよそよそしい記者が多かったNHKのなかで、安住氏はフランクなところもあり好感を持って接していました。ただ、毒舌家でもあったので、国会質疑などを伝えた4日付の新聞各紙のコピーに安住氏が「すばらしい!」、「くず0点」、「ぎりぎりセーフ」といったコメントや、「花丸印」や「×印」を書き込んだという記事を読み、安住氏ならやりかねないなと思いました。「総理番」仲間の私的な会話ならまだしも、公党の国会対策委員長としての立場があることを忘れてしまったのでしょうか。

 安住さんの「暴挙」は今回が初めてではありません。平成22年、防衛副大臣だった時、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)の航空祭で、民間団体「航友会」の会長が「一刻も早く菅直人政権をぶっ潰しましょう」などと、時の民主党政権批判をしたのに激怒し、「何でもいいから制裁措置を考えろ」と事務方に指示をし、「隊員の政治的中立性の確保について」との事務次官通達を出させました。

 通達は、自衛隊行事での民間人の政権批判を封じる、あるいは政権批判をされる恐れがある部外団体主催の行事への参加を控えることを自衛隊全部隊に指示したものでした。これには、「憲法違反」、「言論統制」との批判を浴びました。

 今回、安住氏は「調子に乗って冗談のつもりで感情の思うままに書いてしまった。反省している」と釈明しています。「総理番」仲間だった安住氏に、そんなことよりも、やってほしいことがあります。国会でまともな審議をするように「指導力」を発揮してください。野党が予算委員会で徹底的に取り組むのは、「桜を見る会」ではありません。衆参の政治倫理審査会で議論するようにすべきです。予算委員会では目下の新型コロナウイルスはもちろんのこと、4月に予定される習近平国家主席の国賓としての訪日を含む「中国問題」など、日本が抱える安全保障や少子化、経済、そして憲法改正といった諸課題を徹底議論すべきではないでしょうか。国民が本当に望んでいるテーマに正面から向き合わないから立憲民主党の支持率は低迷しているのです。

 安住さん、まずは月刊「正論」3月号を読んでみてください。ここでは中国の人権弾圧特集をしています。タイトルは「絶望の慟哭ーこれでも中国の習近平国家主席を日本の「国賓」として迎えることを支持しますか」です。在日ウイグル人、チベット人、モンゴル人が座談会を行い、中国当局による激しい弾圧の実情を明らかにしています。

 評論家の三浦小太郎氏は「習近平は全体主義の悪しき指導者」というタイトルの論文のなかで、次のように指摘しました。

 「植民地支配への批判、人権弾圧への抗議は本来、リベラル派が真っ先に行い、運動においても展開すべきテーマのはずで、右派が先んじて運動し、また論じたから、自分たちは看過するという態度など正当化されるはずもない」

 安住さん、あなたの「腕力」で、リベラル派の多い立憲民主党をはじめ野党各党に、ウイグル人などの人権問題に真剣に取り組むよう呼び掛けてほしいのです。いま、中国では新型コロナウイルス感染が拡大しています。一説によれば数百万人規模でウイグル人たちが収容されているといわれていますが、彼らの状況がどうなっているか、「人権」を重視する立憲民主党としても無関心ではいられないはずです。

 本誌でもおなじみの産経新聞の矢板明夫外信部次長は、5日付の産経新聞コラム「矢板明夫の中国点描」で、いまのところ予定通り習主席が4月に「国賓」として訪日することについてこう批判しました。

 「北京の改革派知識人は『困ったときに日本を政治利用する。いつものやり方だ』と指摘した。これまでも中国が困ったとき、状況改善の突破口に日本を使ったことが何度もある。1992年の天皇陛下のご訪中を使い、天安門事件後の国際孤立を回避したことは有名だ。習氏も国家副主席時代に訪日し、天皇陛下との会見を望む外国要人は1カ月前までに申請する『1カ月ルール』を破って天皇陛下と会見したことを、党内の地位向上に利用した」

 安住氏は防衛副大臣、衆院安全保障委員長を務めるなど、党内では外交・安全保障問題に精通しているはずです。いま日本が直面するこのような課題について議論する国会にしてください。野党第一党の国会対策委員長ならイニシアチブを発揮でできるはずです。そうしたら「論外」ではなく、「花丸印」をあげられるでしょう。そう簡単にはあげませんけど。

 

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著者略歴

  1. 有元隆志

    ありもと・たかし 産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人。1989年産経新聞社入社。政治部で首相官邸、自民党、外務省などを担当。2005年7月からワシントン特派員。13年10月政治部長、16年10月編集局総務、18年7月から現職

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