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異論暴論

これでいいのか防衛予算

現実直視した要求せよ

 中国の人権弾圧は想像の域を超えている。弟が強制収容所に入れられた在日ウイグル人のグリスタン・エズズさんは、実態を証言すると、本国の家族と連絡が取れなくなった。父の死に目にも会えない。「日本人は日本を守る観点から、ウイグルで起きていることを放置しないで」と訴える。中国による弾圧はモンゴル人やチベット人にも行われてきた。言語や文字、信仰や生活様式も奪われるのだ。在日モンゴル人、チベット人、ウイグル人が〝民族抹殺〟を告発する。

 その中国の軍事力の脅威にさらされる日本だが、令和2年度予算案の防衛費は5兆3133億円(前年度比1・1%増)でわずかばかりの増額だった。メディアは「防衛費は過去最大」と喧伝(けんでん)するだけで、有事の備えが十分なのかどうかという本質には触れない。わが国を取り巻く厳しい安全保障環境を直視すれば、根本的に予算が足りないという現実に向き合わざるを得ず、増額を批判できなくなるからだ。

 3月号では防衛予算を特集した。安全保障学にある「防衛的防衛」の視点を防衛大学校教授の神谷万丈氏は取り上げた。トランプ米大統領は、これまでのような同盟政策への関与は消極的だ。米国への依存度を下げるため、防衛の範囲内でミサイルなど攻撃能力保有の検討は避けては通れない。

 時代は変わり、宇宙やサイバーと戦争形態は変化を続ける。元陸上幕僚長の岩田清文氏は、慣行的に行われる内部部局ごとの予算調整の在り方を問題視する。統合的な防衛力を整備するため、要求段階からの改革は必然だ。評論家の潮匡人氏は、防衛装備品の購入などでローンが重荷になっている現状を解説し、防衛力を高めるための予算が数字ばかりを追っている現状を憂う。(楠城泰介)

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