THE 正論,  the seiron, THE SEIRON, THE正論

日本を正す!

MENU

【共同通信が報じなかった軍艦島元島民の証言詳報】

共同通信は13日配信の記事で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の端島炭鉱(通称、軍艦島)をめぐり、政府が朝鮮半島出身者への差別的対応はなかったとする元島民の証言を一般公開する方針を固めた、と報じました。これが日曜日の地方紙に「歴史修正主義助長の恐れ」などと大きく報じられました。

元島民とは、幼少期を軍艦島で過ごした在日韓国人2世の鈴木文雄氏です。共同通信は鈴木氏が「朝鮮出身者が奴隷労働をさせられていたのか」との問いかけに「こんな話は聞いたことがない」とだけ報じていますが、ここでは鈴木氏の証言の詳報を紹介します。

両親について「父の出身は、韓国の慶尚南道の固城郡です。母の故郷も近くです」

父の仕事について「父は、『伍長』というて、何人か部下を持って坑内で働いていました。炭鉱着の厚いやつを着ていっても、体の中にはもう、風呂なんかに入ってみたら、黒い炭鉱の粉炭がもう体の中に入っていました。当時、給料を僕がもらいにいきよったんですよ。おふくろから、『おとうさんは伍長かなにかやけんが、少し給料はよかとよ』ということで。そいけん、ちょっと誇りになって、給料をもらいにいっていた記憶があるんですよね」

端島の思い出について「4人兄弟で、端島で小学校4年まで過ごしました。よく遊んだのは、あの8階でしょうね。ちょうど建物の7階までは住まいで、8階が屋上という遊び場です。当時、パッチンって言っていましたけど、カードをひっくり返して取るとか、ビー玉とか。学校から帰ったら、やっぱりすぐ屋上に行って遊びました」

端島でいじめられたことは「周囲の人とか、いろいろな方から可愛がられたことはあるけど、指差されて、『あれは朝鮮人ぞ』とか、そういうことは、まったく聞いたことがないですね」


朝鮮出身の人たちが裸で強制労働させられた。少年が不当に働かされたり、鞭で打たれ虐待されたり、牢屋に入
られていた?「こんなのないですね。こんな話は聞いたことないね。もしもこういうことがあれば、子供なんかでやっぱり噂がちょっとあれして、面白半分で見に行ったりすると思うんですけどね」

端島について思うこと「周囲の人たちもみんないい人でね。悪い負のイメージはありませんしね。僕自身が、まだ小さいですから、可愛がってもらったりして、いい考えがあっても、端島にいてよくなかったということはありませんもん」

鈴木氏は戦後も長崎市にとどまり、信用組合の専務のほか、在日本大韓民国民団の長崎県本部団長も務めました。昨年11月に86歳で亡くなりました。生前、証言に応じたことについて、鈴木氏の長男は「差別、虐待を受けてきたと思われる、それが許せなかったのだと思います。親父は、自分の発言にものすごい責任を持っていましたし、自分の記憶が間違いないかどうかというチェックも、できる限りのことをやっていました。親父の発言を100%信頼しています」と話しています。

証言の模様は下記のサイトでも見ることができます。


共同通信は記事の中で「軍艦島では多くの朝鮮人労働者が非道な扱いを受けたとされる。政府の取り組みには、こうした定説を『自虐史観』(政府筋)とみて反論する狙いがある。過去の事実を覆い隠し、歴史修正主義を助長するとの批判を招きそうだ」と書いています。共同通信は何の証拠があって「非道な扱い」が「定説」であり、勇気を持って発言した鈴木氏の証言は「過去の事実」ではないと言い切れるのでしょうか。


月刊「正論」7月号好評発売中。お求めはこちらから。
https://www.amazon.co.jp/dp/B088N67PNF

タグ

著者略歴

  1. 有元隆志

    ありもと・たかし 産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人。1989年産経新聞社入社。政治部で首相官邸、自民党、外務省などを担当。2005年7月からワシントン特派員。13年10月政治部長、16年10月編集局総務、18年7月から現職

閉じる