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井上和彦の「ニッポン再発見」

自衛隊の見えない敵との戦い

数多くの新型コロナウイルス感染者を受け入れた自衛隊中央病院でも、また駐屯地や基地、そして海自艦艇内でもクラスターと呼ばれる集団感染はまったく起きていない。この秘密については5月28日付けの本紙「正論」欄で紹介させていただき、各方面から御高評をいただいた。そこで、これまであまり知られていない自衛隊の防疫や海外における自衛隊医療部隊の活躍について紹介したい。自衛隊は、今次の新型コロナウイルスと戦う前から、ウイルスや伝染病などの見えない敵と戦い続けていたのである。

近年、日本各地の養鶏場や養豚場で発生している「鳥インフルエンザ」や「豚コレラ」にも陸上自衛隊が災害派遣を実施していることをご存じだろうか。自衛隊は新型コロナウイルスのような人間に感染するウイルスだけでなく、家畜などの殺処分といった防疫処置にも活躍していたのである。鶏など家禽類に感染する鳥インフルエンザの毒性は強く、日本ではまだ人への症例が確認されていないが、外国では人への感染によって多くの人が亡くなっている。鳥インフルエンザが日本国内で流行するようなことがあれば、人的被害はもとより経済的被害は計り知れないものがある。だから鳥インフルエンザは発生が確認された時点で、感染を封じ込めるために直ちに防疫措置を施す必要があるのだ。

鶏など家禽類に感染する鳥インフルエンザの毒性は強く、日本ではまだその症例が確認されていないが、外国では人への感染によって多くの人が亡くなっている。現段階では、治療のための有効なワクチンがなく、もしやウイルスが変異によって人から人へ感染する事態ともなればたいへんなことになろう。いずれにしても鳥インフルエンザが日本国内で流行するようなことがあれば、人的被害はもとより経済的被害は計り知れないものがある。だから鳥インフルエンザは発生が確認された時点で、感染を封じ込めるために直ちに防疫措置を施す必要があるのだ。

その最初の災害派遣は、2004年(平成16年)3月に京都府丹波町の養鶏場で発生した鳥インフルエンザに対する陸上自衛隊の出動が最初だった。そしてその後、全国各地で鳥インフルエンザが検知されるたびに自衛隊が出動し、今次の新型コロナウイルスへの対処時と同じ白いタイベックススーツに身を包み、殺処分や消毒作業などを行なってきたのである。そこで実際に鳥インフルエンザの災害派遣に初めて出動した隊員に聞いてみると、経験がなかったので、他の地域で過去に発生した鳥インフルエンザ災害派遣時の様子を撮影した教育用ビデオを観て準備をしたといい、全員がしっかりと健康チェックを行った上で予防薬を飲んで災害派遣に臨んだということだった。

ところがテレビニュースなどで鶏の殺処分のニュースが流れても、なぜか「陸上自衛隊〇〇駐屯地の隊員が」という解説がないときがある。まったくもってけしからん話だが、白いタイベックススーツに身を包み、こうした大変な作業を担っている陸上自衛隊員がいることをどうか知っておいていただきたい。

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